3S-HACCP認証
(3) 食品企業のランク付け
現在、行政が直接に営利企業の経営ランク付けをしているのは、国土交通省が毎年実施している「建設業・経営事項審査」(「行政書士」が代理申請)です。この審査結果の総合点数P点と各自治体の主観点数との合算によって、公共工事・指名入札でのランク付けが決まっています。(依然として大中企業有利となっている)
しかしながら、食品企業への行政による「経営ランク付け」は、現在のところ行われていません。そこで、業を煮やした消費者団体が共同で、食品企業の「経営ランク付け」(総合点数の5ランク制)を行なっています。この公表により、大手の食品企業は、今まで以上に取引先の中小企業に、HACCP手法を取り入れた「法務会計」経営を要求することになるでしょう。
そのポイントは、(1)消費者利益優先体制と(2)食の安全・安心体制そして(3)コンプライアンス経営マネジメントをいかに実践しているかです。いわゆる生活者重視の「法務会計」経営マネジメントを実践しているかが、社会的に厳しく問われることとなります。つまり、古き行政規制から、新たな社会規制への始まりと言うことです。
当協会のランク付け
すでにこの時流を見越して、NPO法人「アジアHACCP協会」では、地域生活者重視(「安全・安心」重視)の「3S-HACCP」認証等において、食品企業及び食品関連企業の「経営ランク付け」を開始しています。そのランク付け基準は下記の通りです。
Aランク |
総合点数W:100〜80点 | 三ツ星 |
Bランク |
総合点数W:79〜50点 | 二ツ星 |
Cランク |
総合点数W:49〜30点 | 一ツ星 |
Dランク |
総合点数W:29〜0点 | ランク外 |
上記総合点数のWは、(1)HACCP手法(X評点)と(2)「法務会計」手法(Y評点)そして(3)ISO9000s手法(Z評点)の各評点でのウェイト付けした、下記の算式で算出されます。
そして、各評点(X点・Y点・Z点)での評価は、以下のとおり6段階絶対評価となっています。
AA=10点 |
A=8点 |
BB=6点 |
B=4点 |
CC=2点 |
C=0点 |
以上の計算方式を活用すれば、自動的に「経営ランク付け」が可能となっています。勿論、Simple・ Step・Saveを加味しているので、資本金額・従業員数・売上高・施設規模等に関係なく公正に評価されます。
ランク付けを戦略として活用する
国連コーデックス委員会は既に、食品添加物並びに遺伝子組み替えに関する国際安全基準を発表していますが、この流れに沿うように、大手食品メーカーも自主的に、主力自己製造商品ついて、食品添加物の使用抑制と非遺伝子組み替え原料使用の旨をあえて表示することにより、消費者への自己アピール(経営・販売戦略)を開始しています。
この戦略は、ネガテイブな食品事故予防以上の、「食の安全・安心」の戦略的先取り、つまり消費者(生活者)の需要(意識)を喚起(創造)し始めたと言うことです。その陰には、HACCP手法の応用・拡大が前提となっているはずです。要するに、資本力よりもマネジメント力の差と言うことです。それで、中小企業にも充分に勝算があるはずです。
と言うことは、地域密着の中小企業は、中小企業用の上記「3S-HACCP」(HACCP手法+ISO9000s手法+「法務会計」手法)をフル活用すれば、大手企業と互角に勝負出来ると言うことです。
すなわち、地元中小企業が良くなれば、地元も良くなり、其の分税収もアップし、加えて関係監督庁の手間も軽減されることとなり、副産物として国際競争力も高まります。まさしく良いこと尽くめの一石五鳥となります。このような発想は、行政並びに公益法人等では到底思いつくことではありません。やはり、NPO法人の得意業なのです。